本文へ移動
LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第66回

「かねてから」は重複だから間違い?昔から使われる言い方を考える

「かねてから楽しみにしていました」と書いたら、「かねてだけで以前からの意味だから間違い」と指摘された。意味の重なりはありますが、それだけで使えない表現とは言い切れません。

「かねてから」は、辞書でも例文などに使われる表現です。簡潔にしたいなら「かねて」や「以前から」にできます。

重複と誤りを同じにしない

「かねて」は、以前から、前もってという意味です。そのため「から」を付けると、意味が重なっていると説明できます。

毎日新聞校閲センターの解説は、新聞では簡潔に直す一方、「かねてから」を許容する辞書も比較的多いと説明しています。新聞の用語方針を、そのまま日常の手紙すべての正誤基準にする必要はありません。

かねてから一度訪ねてみたいと思っていた町です。

この文は意味が通り、以前から抱いていた気持ちを表せます。「かねて一度訪ねてみたいと思っていた町です」と短くすることも、「以前から訪ねたいと思っていた町です」と書き換えることもできます。

「従来から」と一緒に覚えてよい?

「従来」にも以前から今までという意味があり、「従来から」は同じように重複が指摘されます。しかし、似た構造だからといって、すべての語の受け止め方や辞書の扱いが同じとは限りません。

「以前からの課題です」と言えば簡潔で、「従来からの課題です」という迷いも避けられます。「かねてより」も、以前からの意味の改まった表現として使われますが、「より」にすれば重なりが完全になくなる、という話ではありません。

手紙の一文を短くしたいなら削る。媒体に表記方針があるなら合わせる。そうした修正には理由があります。ただ、「かねてから」と書いた人の日本語全体を否定するほどの問題ではありません。伝えたい時点や継続が読み取れるかを確かめて、文章に合う形を選べます。

自分の文章を校正する登録なしで200文字まで無料で使えます。
すべてのコラムを見る