正しい敬語 / 第68回
「前向きに検討します」は断り?返事をする側が添えたい言葉
「前向きに検討します」と言われたら、期待して待ってよいのでしょうか。言葉の意味は、実現や採用に向けて積極的に考えること。ただし、決定や承諾を約束する返事ではありません。
婉曲な断りに使われることもありますが、この言葉だけから相手の本心を見抜くことはできません。
「前向き」でも、まだ決まっていない
「ぜひ参加したいが日程の確認が必要」という人も、「条件を比べてから判断したい」という人も、検討中です。前向きさの程度は、一語では正確に伝わりません。
返事をする側は、現在の状態をもう一歩具体的に書けます。
| 状態 | 返答の例 |
|---|---|
| 参加したいが日程未確認 | 参加を希望しています。予定を確認し、金曜までにお返事します。 |
| 条件が合えば進めたい | 納期を一週間延ばせるようでしたら、お願いしたいと考えています。 |
| 今回は受けられない | ご提案ありがとうございます。今回は予算の都合で見送らせてください。 |
こうして書けば、相手がどこまで準備を進めてよいかも判断できます。
返答時期か、残っている条件を添える
「前向きに検討いたします。社内で予算を確認し、15日までにご連絡します。」
検討中であることを伝えたいなら、このように次の連絡を添えられます。まだ日時を約束できない場合は、「会場の空きを確認してから判断します」と、決定に必要な条件を伝える方法もあります。
「前向き」という姿勢に加えて、何が決まれば返事をできるのかを書くと、待つ側の不安が減ります。
すでに難しいと決まっているなら、期待を残すより、その判断を丁寧に伝えたいところです。「検討します」を付けなくても、「お声掛けいただき、ありがとうございました」と感謝は示せます。曖昧さを保つことだけが、相手への配慮ではありません。
「前向きな返事」をもらった後の確認
ご検討いただき、ありがとうございます。準備の都合上、出欠については来週水曜までにお知らせいただけますでしょうか。
相手の意欲にお礼を述べながら、正式な回答が必要な時期を示しています。「前向きと伺ったので、参加で登録しました」と先に確定してしまうのは避けたいところです。
手配を進めてよいか知りたいなら、「現時点では仮の予定として伺い、確定のご連絡後に会場を手配する形でよろしいでしょうか」と確認できます。相手の気持ちを探るより、次の行動に必要な合意を言葉にするほうが確実です。
相手が日程を確約できない場合は、いつまで待てるかをこちらから示す方法もあります。催促の言葉を強めることだけが、返事を求める方法ではありません。
検討した結果を伝える例文
ご案内いただき、ありがとうございました。予定を調整できましたので、今回は参加いたします。
前向きに考えた結果、受けると決めた場合の返事です。「検討いたしました」とだけ報告せず、決まった内容を明確にしています。
社内で検討いたしましたが、今回は日程が合わず、参加を見送ります。お声掛けいただいたにもかかわらず、申し訳ありません。
見送る場合も、具体的な結果を伝えます。「前向きに検討すると言ったのだから断れない」というわけではありません。検討中であることを初めに伝え、判断後に返事をすることで、相手も状況を把握できます。
まだ決まらないまま回答予定日を迎えるなら、「確認に時間が掛かっており、結論を出せておりません。金曜までお待ちいただくことは可能でしょうか」と尋ねられます。黙って期限を過ぎるより、いつ何を返せるかを改めて相談するほうが、相手の調整を助けます。