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間違えやすい日本語①:「役不足」「確信犯」「敷居が高い」の正確な意味とは?

「役不足」「確信犯」「敷居が高い」。この3語には共通点があって、どれも言葉の向きが、多くの人の思っている方と逆になります。謙遜のつもりで言った「役不足」は相手の依頼を軽く見る形になり、「悪いと分かってやった」つもりの「確信犯」は、もとの意味では「正しいと信じてやった」人のこと。「敷居が高い」は、高級さではなく後ろめたさの話でした。

連載の初回にこの3つを選んだ理由もそこにあります。字を見れば意味が分かりそうで、だからこそ確かめずに使い続けてしまう。ここでは3語をまとめて見比べるところまでにして、くわしい話は語ごとの記事に分けました。

「役不足」は、役のほうが軽い

「〇〇不足」は〇〇が足りないこと。寝不足なら眠りが、人手不足なら人手が足りないのと同じで、「役不足」は役が足りない、つまりその人の実力に比べて役目が軽すぎることを言います。もとは芝居の言葉で、大物の役者に小さな役しか回ってこないときの不満を指していました。

「私では役不足ですが」と書くと、任された仕事を小さく見ている形になってしまいます。自分を低く言うなら「力不足ですが」「微力ですが」。向きがどう逆になるのか、芝居の由来と「力不足」との見分けは、「役不足」の本当の意味と使い方に書きました。

「確信犯」は、正しいと信じてやる人

いまは「わざとやる人」の意味で使うことが多い言葉ですが、もとはドイツの法学から来た訳語で、政治や宗教、道徳の信念にもとづき、正しいと信じて行う犯罪や行為を指します。確信しているのは悪いことではなく、自分の正しさ。ここが入れ替わっているので、「怒られると分かっていてわざと遅刻した」を「確信犯」と呼ぶと、もとの意味からは外れます。

字面から「確信を持って犯した」と読めてしまうので、新しい意味が広がったのも分かります。訳語の出どころと、法律の「故意犯」との違いは「確信犯」の本来の意味に。

「敷居が高い」は、後ろめたさで行きにくい

敷居は引き戸の下の、数センチの横木です。それが高く見えるのは、不義理や面目のないことがあって、その人の家へ行きにくいとき。長く連絡を絶っていた恩師の家の前で足が止まる、あの感じがこの言葉の出どころでした。

「高級店は敷居が高い」という使い方はすでに広く定着して、新しい版の辞書に載り始めてもいます。3語の中では、いちばん「誤用」と言い切りにくい言葉かもしれません。どちらの意味で読まれるかの見分けと、「ハードルが高い」への言い換えは「敷居が高い」の正しい意味にまとめています。

まとめ:正誤早見表

言葉よくある誤解本来の意味
役不足力が足りない役目が実力に対して軽すぎる
確信犯悪いと分かってわざとやる正しいと信じて行う犯罪や行為
敷居が高い高級で入りにくい不義理があって行きにくい

出典:文化庁「国語に関する世論調査」 平成20年度 / 平成24年度 / 平成27年度

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