間違えやすい日本語②:「煮詰まる」「潮時」「破天荒」の正確な意味とは?
言葉は、音や字面の印象にかなり引っぱられます。「煮詰まる」は苦しそうに聞こえるし、「潮時」は終わりの合図に見える。「破天荒」には、なんとなく派手で乱暴な感じがあります。
ところが辞書の説明や由来をたどると、どれも印象とはずいぶん違います。今回の3語に共通するのは、明るい側の言葉か、暗い側の言葉か、そこを取り違えやすいこと。早見表で3語の違いをつかんだら、気になる言葉は個別の記事へ。くわしい由来や使い分けはそちらに書いています。
「煮詰まる」は、結論が近いという意味
台所で煮物の汁が減って、味が決まってくる。「煮詰まる」はその様子を話し合いに重ねた言葉で、意見が出尽くして結論が出る段階に近づくことを指します。「議論が煮詰まった」は、まとまりかけている、という安心してよい報告です。
ところが音の近い「行き詰まる」と混ざって、「もう手詰まりだ」の意味で受け取る人も少なくありません。会議で同じ一言を聞いて、安心する人と焦る人に分かれる。他動詞の「煮詰める」はいまも揺れていないのに、なぜ自動詞だけがずれたのか。そのあたりは「煮詰まる」の意味と使い方に書きました。
「潮時」は、やめどきだけではない
「もう潮時だ」と聞くと、引き際の話に聞こえます。けれど辞書で引くと、最初に出てくるのは潮の満ち引きの時刻で、その次が物事をするのにちょうどよい時機。船を出すのに向いた潮の頃合いが、もとの姿です。始めるときにも、攻めるときにも、退くときにも使えました。
終わりの意味ばかりが目立つせいで、好機という側面が忘れられつつあります。なぜやめる方へ寄っていったのか、どう書けば向きが伝わるのか。「潮時」の意味と使い方で考えています。
「破天荒」は、前人未到を成し遂げること
「破天荒な性格」と聞けば、豪快で型破りな人を思い浮かべるのがふつうでしょう。ただ、この言葉はもともと、だれも成し得なかったことを初めて成し遂げること。長く科挙の合格者が出なかった土地から初めて合格者が出た、という中国の故事に由来し、人柄ではなく達成の大きさにかかります。
字面の強さに引っぱられて意味が動いた語なので、偉業なら「前人未到」、人柄なら「型破り」と言い分けたほうが伝わりやすい場面もあります。故事のくわしい筋は「破天荒」の記事へ。
まとめ:正誤早見表
| 言葉 | よくある誤解 | 本来の意味 |
|---|---|---|
| 煮詰まる | 行き詰まる | 結論が出る段階に近づく |
| 潮時 | 終わり、あきらめどき | ちょうどよい時機 |
| 破天荒 | 豪快、型破りな様子 | 前人未到を成し遂げること |
出典:文化庁「国語に関する世論調査」 平成20年度 / 平成24年度 / 平成25年度
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この連載の記事
- 前の回:間違えやすい日本語①:「役不足」「確信犯」「敷居が高い」
- 次の回:間違えやすい日本語③:「姑息」「憮然」「割愛」
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