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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第104回

「もっぱら」はそれだけという意味?「専ら」の使える範囲

「休日はもっぱら家で本を読んでいます」と言う人が、たまに外出したら矛盾するのでしょうか。必ずしもそうではありません。「もっぱら」は、一つのことに集中する意味と、それを主にする意味があります。 例外が一切ないかどうかは、前後の文から判断します。

「もっぱら読書」は主な過ごし方を伝える

「最近の休日は、もっぱら読書です」。ふだん何をしているかという会話なら、読書が中心だという説明です。食事も掃除もせず、読書以外は何もしていないという意味で読む必要はありません。

「移動はもっぱら電車です」も、主な交通手段を表します。雨の日にバスを使ったり、急いでいる日にタクシーに乗ったりすることまで否定するとは限りません。例外があるなら「遠出するときだけ車を使います」と続けられます。

一方、「この期間はもっぱら制作に集中した」という文では、ほかのことを脇に置いて制作に力を注いだ意味が強くなります。対象の内容や、集中するといった動詞との組み合わせで捉え方が変わります。

「専ら」と書いても意味は狭まらない

「もっぱら」は漢字で「専ら」と書きます。「専用」「専念」などと同じ「専」の字があるため、必ず一つだけに限るように見えるかもしれませんが、主にという使い方もあります。

文章中では、ひらがなで「もっぱら」と書いて構いません。漢字に替えることで意味が厳密になるわけでもありません。読みやすさや文章全体の表記に合わせて選べます。

「専門に」とも常に同じではありません。「その店はもっぱら地元の人が利用する」なら、利用者の傾向の話です。「その店は地元の人を専門にする」とすると、不自然な説明になります。一つの訳語だけで置き換えようとしない方がよい語です。

案内で「主に」と「だけ」を混ぜない

「この窓口では、もっぱら予約の変更を受け付けています」。予約変更が中心なのか、変更以外は一切受け付けないのかが少し曖昧です。利用者が窓口を選ぶ案内なら、違いを明確にしたいところです。

ほかの相談も受けるなら「主に予約の変更を受け付けています。予約内容の確認もご相談いただけます」と書けます。変更に限定するなら「この窓口は予約変更専用です」とします。

「会議ではもっぱら日程について話した」という議事の要約も、日程以外の議題がなかったことまでは保証しません。議題を全部示す必要がある記録なら、「日程と会場について話し合い、日程の調整に多くの時間を使った」と具体化できます。

趣味の紹介では中心が分かれば十分でも、受付範囲や議事録では例外が重要になります。言葉の曖昧さが問題になるかは、読み手が何を判断する文なのかで変わります。

「もっぱらのうわさ」は確認済みの事実ではない

「新しい店ができるという、もっぱらのうわさだ」。この「もっぱら」は、その話が盛んに言われているという使い方です。うわさの内容が正しいと確認されたことを示す語ではありません。

「地域でもっぱらのうわさになっている」と書く場合にも、誰がどの程度話しているのかは別に考える必要があります。たまたま数人から聞いただけの話を、地域全体の共通知識に広げないようにしたいところです。

確かな情報として案内するなら、「運営者は来月開店すると発表しています」と情報源と内容を示せます。未確認なら「開店するという話を聞きましたが、日程は確認できていません」と分けます。

「もっぱら」は、主な傾向や集中していたことを簡潔に伝えられる言葉です。何か一つだけなのか、中心が一つなのか、よく聞く話なのか。自分の文がどれに当たるかを確かめると、必要なところだけ具体的に補えます。

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