正しい敬語 / 第119回
「お気持ちはありがたいのですが」で断れる?好意を受けられないときの一言
「お気持ちはありがたいのですが」は、相手の好意に感謝しながら、申し出を受けられないと伝える前置きです。贈り物や手助け、招待を断る場面で使えます。
ただ、この一文を途中で止めると、単に遠慮しているだけと受け取られることがあります。今回は受けないのか、一部ならお願いしたいのかを、続く言葉で明確にできます。
贈り物を受け取れないとき
お気持ちはありがたく存じますが、個人的な贈り物はお受けしておりません。どうぞお気遣いなさらないでください。
受け取れない方針がある場合の文です。「お気持ちはありがたいのですが、ちょっと」と濁すより、辞退の意思が伝わります。
品物の値段や好みを理由にしてしまうと、別の物なら受け取るのかと迷わせる場合があります。贈答自体を受けないなら、その範囲を示します。相手を責めず、「こちらでは」と自分側の事情として説明できます。
既に届いた品を返す必要がある場合は、勝手に返送する前に、返すことと方法を相手に知らせられます。「お気持ちだけ頂戴します」と結ぶこともできますが、物をどう扱うかの連絡は別に必要です。
手助けを断るなら今必要なことも
お気持ちはありがたいのですが、今回は自分で最後まで試してみたいと思っています。分からない点が出ましたら、あらためて相談させてください。
自分で取り組みたい場合の例です。相手の能力を否定せず、自分の希望として述べています。後で相談するつもりがないなら、その一文を形式的に付ける必要はありません。
一部なら助けてもらいたい場合は、「入力はこちらで行いますので、最後の確認だけお願いできますか」と頼む範囲を示せます。
好意への感謝と、実際に受ける範囲を分けて伝えます。「お気持ちは」と言った後に曖昧な笑顔だけで済ませるより、してほしいこと、今回は不要なことが分かる方が親切な場面があります。
招待を断るときに相手の企画を評価しない
お誘いいただき、ありがとうございます。お気持ちはうれしいのですが、その日は先約があり、参加できません。
日程が合わないことを伝える文です。参加できない理由が日程なら、その会の内容を褒めすぎたり、別の予定との優先順位を説明したりする必要はありません。
今後も同じ種類の誘いを希望しないなら、「またぜひ」と言って期待を残すより、「今は新しい会への参加を控えています」と、自分の意向を伝える方法があります。
相手から理由を詳しく聞かれても、私生活の事情を全て説明しなくて構いません。「個人的な事情のため、詳細は控えますが、今回は辞退いたします」と短く答えられます。丁寧に断ることと、説得されるための材料を全て渡すことは違います。
相手が重ねて勧めてきたら結論を繰り返す
「遠慮しないで」と言われたとき、受けたくないのに新しい理由を次々に作る必要はありません。
ありがとうございます。ただ、今回はお受けしないことにしています。お気遣いだけ、ありがたく受け取らせてください。
感謝は保ちつつ、結論を変えていない文です。「お気持ちはありがたい」と言ったから、最後には受けなければならないわけではありません。
断られた側も、「本当は欲しいのでしょう」と気持ちを決め付けず、「承知しました。では、今回は控えます」と受け止められます。好意として始まった申し出が負担に変わらないよう、相手が示した意思を尊重できます。