正しい敬語 / 第11回
「お願いできますか」と「お願いしてもよろしいですか」はどちらが自然?
「この書類の確認をお願いできますか」は自然な依頼です。「この書類の確認をお願いしてもよろしいですか」も使えます。後者は、お願いすることについて相手の許しを求める形で、間接的に頼んでいます。
いつも長い方へ言い換える必要はありません。用件を直接示してよい場面なら「お願いできますか」で丁寧に頼めます。
書類の確認を頼むなら「お願いできますか」
提出前に、金額欄の確認をお願いできますか。
担当者に一つの作業を頼む例です。引き受けられるかを尋ねているので、「お願いします」と言い切るより、相手は可否を答えやすくなります。
頼む内容が決まっているなら、「確認をお願いすることは可能でしょうか」「確認をお願いしても差し支えないでしょうか」と何段階も間接的にする必要はありません。「本日中にお願いできますか」と期限を足す方が、相手の判断に役立つ場合もあります。
文化庁も、依頼の仕方の解説で「お願いできますか」「お願いしてもいいですか」の両方を挙げています。許可を求める形を使った依頼そのものが、誤りなのではありません。
「お願いしてもよろしいですか」で話を切り出す
少し込み入ったお願いをしてもよろしいでしょうか。
まだ詳しい用件を話していないときに、相談を切り出す文です。この段階で相手が「はい」と言っても、内容の分からない依頼をすべて引き受けたわけではありません。続けて事情や必要な対応を説明し、できるかを尋ねます。
ただ、「一つお願いしてもよろしいでしょうか」だけをメールに書くと、相手は用件を知るために返信しなければなりません。メールなら最初から「日程変更についてお願いがあり、ご連絡しました」と述べ、希望する日を示してよいでしょう。
丁寧さのために、用件を最後まで隠しておく必要はありません。相談を始める配慮と、何を頼むかを伝えることは両立できます。
受付で、提出書類の記入欄を案内するなら、「こちらにお名前のご記入をお願いします」と言えます。普段から分担が決まっている同僚への確認も、「いつもの集計をお願いします」で足りる場面があります。
担当外の人へ急に頼むなら、「こちらの集計をお願いできますか」と引き受けられるかを尋ねる文に戻せます。