正しい敬語 / 第10回
「今お時間よろしいでしょうか」の使い方と丁寧な言い換え
「今、お時間よろしいでしょうか」は、話を始める前に相手の都合を確かめる言い方として使えます。電話の相手が上司や取引先でも、このまま丁寧に尋ねられます。
ただ、用件が分からないままでは、相手も今話せるか決めにくいものです。何の話かを短く伝え、分かる場合は所要時間も添えると、答えるための手掛かりになります。
電話では用件を先に少し伝える
申込書について二点確認したく、お電話しました。今、3分ほどお時間をいただけますか。
担当者につながって名乗った後の例です。「申込書」「二点」「3分ほど」があるので、相手は短い確認なのか、込み入った相談なのかを判断できます。
文化庁の依頼の仕方の解説でも、相手に判断を委ねる尋ね方を勧めています。時間を取ってもらうときも、話せるかどうかを相手が選べる形にできます。
「お時間をいただけますか」は、自分のために時間を使ってもらえるかを尋ねる文です。「今、お話ししてもよろしいでしょうか」なら、話し始めてよいかを尋ねています。どちらも使えます。単に長い方を選ぶのではなく、その場で言いやすい文を使えばよいでしょう。
所要時間が読めないのに「1分だけ」と言い切る必要はありません。相談が長くなりそうなら、初めから別の時間を決めることもできます。
来月の予定について相談したいことがあります。15分ほどお話しできる時間を、あらためていただけますか。
今すぐ本題に入る依頼から、相談の日時を決める依頼へ変えた文です。
「今は難しい」と言われたらどう返す?
承知しました。ご都合のよい時間に、こちらからあらためてお電話します。何時ごろがよろしいでしょうか。
ここで「すぐ終わりますので」と話を続けると、先ほど都合を尋ねた意味が薄れてしまいます。こちらからかけた電話なら、かけ直す提案ができます。相手から「後で連絡します」と言われた場合は、その申し出に合わせます。
同じ部屋にいる同僚へ、今渡した書類の数字を一つ尋ねるだけなら、「今、一点確認してもよいですか」でも伝わります。「お時間を頂戴しても差し支えございませんでしょうか」と毎回長くする必要はありません。
改まった言葉を足すことより、用件の長さに合った頼み方にすることが大切です。短い確認ならその場で、長い相談なら日時を決める。「今お時間よろしいでしょうか」の後に、本当に相手が都合を選べるやり取りを続けます。