正しい敬語 / 第9回
「可能でしょうか」は失礼?依頼メールでの使い方と例文
「納品日を明日に変更していただくことは可能でしょうか」は、変更できるかを丁寧に尋ねる文です。「可能でしょうか」という形だけで失礼になるわけではありません。
気を付けたいのは、相手に何を尋ねているかです。実現できるかを知りたいのか、その作業を引き受けてほしいのかを、依頼の内容と一緒に書きます。
「明日までに可能でしょうか」では作業が分からない
直前まで納品の話をしていれば、「明日までに可能でしょうか」でも通じるでしょう。しかし新しいメールをその一文だけで送ると、見積もり、製作、発送、納品のどこまでを求めるのかが分かりません。
納品日を10月9日に前倒ししていただくことは可能でしょうか。難しい場合は、最短の納品日をお知らせいただけますか。
前倒しを打診している例です。難しいときに知りたいことまで添えているため、相手は可否と代案を返せます。「無理を承知で」「大変恐縮ですが」と前置きを増やすより、必要な日と求める対応が見えることが役立ちます。
直接頼むなら「お願いできますか」も使える
担当者に決まった書類の確認を頼むだけなら、次のように書けます。
添付の申込書を、明日までにご確認いただけますか。
「ご確認いただくことは可能でしょうか」でも意味は伝わりますが、ここでは「可能」を入れなくても、引き受けられるかを尋ねられます。文化庁の依頼の仕方の解説でも、「お願いできますか」など、相手の判断を尊重する尋ね方を挙げています。
使い分けは敬意の高低だけではありません。見積もり前に特注品を作れるか知りたいなら「この寸法での製作は可能でしょうか」。正式に依頼する段階なら「先日ご相談した寸法で、製作をお願いいたします」と、やり取りの段階に合わせて変えられます。
「可能です」と返ってきた後の一言
費用も納期もまだ相談中なのに、可否への返答だけで発注まで済んだつもりになると、話がずれます。
ご確認ありがとうございます。それでは、ご提示の金額と納期でお願いいたします。
依頼を確定する場合の例です。まだ検討するなら「対応可能とのこと、承知しました。社内で検討し、あらためてご連絡します」と返せます。
「可能でしょうか」は事前の相談にも、本依頼の婉曲な言い方にも使われます。この一言だけでは、どちらの段階かが決まらない場合があります。「まず可否を伺いたい」「条件が合えばお願いしたい」などと添えると、相手も次の対応を決めやすくなります。