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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第93回

「お先に失礼します」は謝る言葉?先に帰るときの挨拶と返し方

「お先に失礼します」は、周囲より先にその場を離れるときの挨拶です。退勤する同僚や、会食で先に帰る人が使えます。先に帰ること自体を悪いこととして謝っているわけではありません。

「失礼します」は、その場を離れることへの一言です。帰ってよいかを尋ねる必要がある場面では、これだけで許可を得たことにはなりません。

退勤時は短い挨拶で伝えられる

それでは、お先に失礼します。お疲れ様でした。

いつもの退勤なら、これで先に帰ることが伝わります。残っている人に申し訳なさを強く示したり、個人的な予定を詳しく説明したりする必要はありません。

引継ぎが必要な場合は、挨拶の前に済ませます。「申込書の確認は終わりました。残りの二件は、明朝こちらで対応します。それでは、お先に失礼します」と言えば、どこまで終えたかも共有できます。

「お先に失礼させていただきます」も場面によって使われますが、毎日の挨拶なら「お先に失礼します」で十分です。長い形にすることより、必要な用件を伝えてから離れる方が、周囲も状況を把握できます。

会食で先に帰るときはお礼を添える

本日はお招きいただき、ありがとうございました。明日の予定が早いため、ここでお先に失礼します。

会の途中で帰る場合の文です。招いた人へのお礼と、退出することを伝えています。全員の会話を止めて長く挨拶する必要はなく、主催者や近くの人に短く伝える場面もあります。

途中で帰る予定が分かっているなら、始めに「本日は19時ごろに失礼する予定です」と知らせておくと、急な退出だと受け取られにくくなります。「お先に失礼します」は予定の共有の代わりではなく、実際に離れるときの挨拶です。

個人的な事情を詳しく言いたくない場合は、「この後予定があるため」で足りることもあります。理由を作って話を複雑にするより、必要な範囲だけ伝えられます。

途中退出の相談は先にする

会議の担当者として最後まで必要とされているのに、「お先に失礼します」と突然出てしまうと、進行に影響します。

本日の会議ですが、15時に退出する必要があります。担当箇所を先にご説明してもよろしいでしょうか。

これは退出が必要な事情を踏まえ、進め方を相談する文です。担当の説明を別の人に代わってもらうなら、その依頼も前もって行います。

「お先に失礼します」は退出の挨拶で、引継ぎや進行の相談を済ませる言葉ではありません。

同じ部屋にいるだけで、各自の用事が独立している場面なら、毎回許可を求める必要はありません。誰かの対応が必要になる退出かどうかを分けて考えます。

見送る側は「お疲れ様でした」で返せる

「お先に失礼します」と言われたら、「お疲れ様でした」「どうぞ、お気をつけて」と返せます。帰る人より自分の方が目上だから、特別な評価や許可の言葉を付ける必要はありません。

お疲れ様でした。引継ぎのメモ、確認しました。

本日はありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください。

前者は職場、後者は招いた相手を見送る例です。「もう帰るんですか」と言うと、予定を確認したつもりでも、帰ることを責める調子になる場合があります。連絡しそびれた用件があるなら、「お帰りの前に、一点だけ確認してもよいですか」と内容を示せます。

相手が急いでいると分かったら、「では、明日伺います」と次の機会へ回せます。挨拶のやり取りを、帰る人への引き留めの口実にしない方が自然です。

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