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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第4回

「恐れ入りますが」と「申し訳ありませんが」の違いと使い分け

受付で場所を聞くなら「恐れ入りますが、会議室はどちらでしょうか」。こちらの案内ミスで相手に書類を出し直してもらうなら「案内に誤りがあり、申し訳ありません」と、まず謝ります。

通常の質問や依頼には「恐れ入りますが」、実際にかけた迷惑を謝るなら「申し訳ありません」が使いやすい選び方です。ただし、「恐れ入る」に謝罪の意味がないわけではなく、二つの用途は重なります。

「恐れ入りますが」は質問にも依頼にも使える

恐れ入りますが、予約の名前を確認していただけますか。

初めて話す受付の人に、ひと手間を頼む例です。まだ何か失敗をしたわけではありませんが、相手に対応してもらうことへの配慮を前置きで表せます。

小学館の『デジタル大辞泉』でも「恐れ入る」には、好意への感謝に加え、迷惑をかけて申し訳なく思う意味があり、「恐れ入りますが」を依頼や質問の挨拶として扱っています。したがって「謝罪には絶対使えない」という説明は狭すぎます。

もっと身近な相手なら「すみません、こちらを確認してもらえますか」でも用は足ります。いつもの短いやり取りを、毎回「恐れ入りますが」に改める必要はありません。

自分の不手際は前置きだけで済ませない

「恐れ入りますが、もう一度送ってください」では、なぜ相手が再送しなければならないのか分かりません。こちらの処理ミスでファイルを確認できなくなったのなら、事情とおわびを書きます。

こちらの不手際で添付ファイルを確認できなくなってしまい、申し訳ありません。お手数ですが、再送をお願いできますか。

謝る文と、これから頼む文を分けています。「申し訳ありませんが、再送してください」も謝意を含む言い方ですが、迷惑をかけた場面では、何を謝っているかが見える方が伝わります。

同じ再送依頼でも、相手の添付忘れが理由なら「恐れ入りますが、添付ファイルが見当たらないため、ご確認いただけますか」と書けます。事情が分からないうちは、どちらにミスがあったかを断定せず確認します。

「申し訳ありませんが」は依頼にも使える

お忙しいところ申し訳ありませんが、本日中に一度お電話いただけますか。

急な用件で相手の予定に割り込むことを気遣った文です。前もって何か失敗をした場合だけに限りません。

どちらの前置きも、続く依頼を自動的に適切にする言葉ではありません。「恐れ入りますが、今すぐ全部直してください」では、相手の予定や作業量を確かめていません。手間を求めるなら、必要な箇所を示したうえで「本日中の修正は可能でしょうか」と相談できます。

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