正しい敬語 / 第66回
「おっしゃる通りです」は本当に同意するときだけ?返答の使い分け
相手の話を受け止めるつもりで「おっしゃる通りです」と返したら、案に全面賛成したと思われた。この言葉は、単に「話を聞きました」より強い返事です。
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語。「おっしゃる通りです」は、相手の述べた内容がその通りだと認める表現です。
同意する範囲をはっきりさせる
「費用を見直す必要がありますね」と言われ、本当にそう考えているなら、「おっしゃる通りです。会場費から確認します」と返せます。
一方、「費用を減らすため、会を中止しましょう」という提案に、費用削減だけは賛成だとします。このとき、冒頭で全面的に「おっしゃる通りです」と言うと、中止にも同意したように聞こえます。
「費用を見直す必要がある点は、おっしゃる通りだと思います。ただ、中止の前に会場変更を検討できないでしょうか。」
このように、どの点に同意するのかを言葉にすると、その後の提案とのつながりも明確です。
共感や理解なら、別の返し方もできる
相手が「急な変更で困りました」と話したときには、「急なご変更で、お困りだったのですね」と気持ちを受け止められます。事情の全てを確認していないのに、相手の評価や主張を丸ごと肯定する必要はありません。
説明を理解しただけなら、「そういう経緯だったのですね」。依頼を引き受けるなら、「承知しました。こちらで確認します」。疑問が残るなら、「その点は分かりました。もう一点、確認させてください」と返せます。
「おっしゃる通りです」は目上にも使える自然な敬語です。だからこそ、無難な相づちとして繰り返すと、自分の考えと返事がずれることがあります。
相手を尊重することと、すべてに賛成することは別です。同意できる点を具体的に示す方が、丁寧さと自分の意見を両立できます。
参考:用語の解説
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