正しい敬語 / 第65回
「ご連絡をお待ちしております」だけで返事は来る?期限を伝える結び
案内の最後に「ご連絡をお待ちしております」と書いたのに、返事が来ない。相手は、質問がある人だけ連絡すればよい、と受け取っているかもしれません。
この言葉は連絡を待つ気持ちを伝えますが、何について、いつまでに答えてほしいかは別に書く必要があります。
「お待ちしております」は、待つ側を丁重に述べる言葉
自分の行動なのに「お待ち」としてよいのか、気になる人もいるでしょう。「お待ちする」は、待っている相手を立てる謙譲表現です。「おります」は、自分側の状態を丁重に述べています。
したがって「ご連絡をお待ちしております」は、敬語として使える結びです。「お」を取った方が正しい、というわけではありません。
ただ、この一文には「返事が必要です」という依頼が明示されていません。招待状なら、参加する場合だけ連絡するのか、欠席でも返事が必要なのかが残ります。
何をいつまでに返してほしいかを先に書く
「会場手配のため、出欠を10月12日までにお知らせいただけますでしょうか。欠席の場合もご返信をお願いいたします。」
この文なら、相手は返す内容と期限を判断できます。最後に「ご連絡をお待ちしております」を添えてもよいですが、依頼が明確なので必須ではありません。
日程調整なら、「候補日のうち、ご都合のよい日時を二つお知らせください」と具体化できます。未定の人にも返事を求めたいなら、「まだ決まらない場合は、その旨だけでもお知らせいただけますと幸いです」と補えます。
結びの丁寧さと、依頼の具体性を別々に確かめると、返信しやすい文になります。「お待ち申し上げております」とさらに改まった形にしても、何を返せばよいか分からない問題は解消しません。
必要な返事があるときは、その内容を先に。待っている気持ちは、そのあとに添えると自然です。
問い合わせを歓迎する結びに使う場合
ご不明な点がございましたら、メールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしております。
こちらは、全員に返事を求める文ではなく、質問のある人からの連絡を歓迎する案内です。同じ結びでも、直前の一文によって相手に求める行動が変わります。
連絡方法を限定したいなら、メールアドレスや窓口を示します。「いつでもご連絡ください」と書いても、電話対応に時間の制限があるなら、その受付時間を併記したほうがよいでしょう。歓迎する気持ちと、実際に対応できる条件をそろえます。
返事が不要な報告なら、「以上、ご報告申し上げます」と締められます。何の連絡を待っているわけでもないのに、慣れた定型句だからと毎回入れる必要はありません。
返事を待つ側から、次に連絡するとき
先日お送りした候補日について、ご都合はいかがでしょうか。来週の会場予約に向け、金曜までにお知らせいただけますと幸いです。
最初の案内に回答期限を書いていなかった場合は、その点も考慮して確認します。「まだご連絡をいただいていません」と責めるより、今必要な返事と理由を示せます。
相手が既に回答した可能性があるなら、「行き違いでご返信いただいておりましたら、失礼いたしました」と添える方法もあります。ただし、毎回同じ確認文を送り続けるより、送信先や前の返信を一度確かめたいところです。
反対に「ご連絡をお待ちしております」と言われた側は、返事の内容が分からなければ、「出欠については、欠席の場合もご連絡すればよろしいでしょうか」と確認できます。書かれていない条件を推測するより、一点を尋ねることで、必要な返答がはっきりします。