正しい敬語 / 第64回
「担当者はお休みをいただいております」は誰への敬語?電話で迷う一言
「担当の佐藤は、本日お休みをいただいております」。電話で聞くことのある言い方です。丁寧に伝えたい気持ちは分かりますが、電話をかけた人が休暇を与えたわけではないため、不自然に感じる人もいます。
「本日は休んでおります」と言えば、その引っ掛かりを避けられます。
「いただく」で、誰を立てているのか
「いただく」は、ここでは「もらう」の謙譲語です。休みを認め、調整してくれた上司や同僚に「昨日は休みをいただき、ありがとうございました」と伝えるなら、関係が分かります。
一方、社外の相手に担当者の不在を伝えるだけなら、休みを許可した人を持ち出す必要はありません。「お休みをいただく」は、自社を立てているように受け取られることもあります。
ただし、常に誤りとは言い切れません。小学館辞書編集室の解説も、休むことが相手の仕事に関係し、配慮を受けている場合には使えるとしています。言葉の形だけでなく、誰とのやり取りかによるのです。
電話では、不在の事実と次の対応を伝える
通常の取次ぎなら、次のように言えます。
「佐藤は本日休んでおります。明日は出勤予定です。伝言を承りましょうか。」
「佐藤は本日不在にしております。私で分かることでしたら、お伺いいたします。」
休んでいる理由を詳しく説明する必要はありません。出勤予定も、分かっている範囲で伝えます。休暇への敬語を重ねるより、相手が次にどう連絡できるかを知らせる方が、応対として役立ちます。
なお、自分側の言葉に「お」があれば、すべて自分を敬っているわけではありません。「お休み」の一字だけを誤り探しするより、「いただく」が誰から何を受ける関係なのかを確かめると、言い換える理由がはっきりします。
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