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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第87回

「そちら」「おたく」は失礼?名前が分からない相手への呼びかけ

「そちら」は場所や相手側を指す言葉として使えますが、人への呼びかけでは距離があるように聞こえることがあります。「おたく」も、相手本人なのか会社なのか家なのかが文脈で変わります。

初対面の人に直接話し掛けるなら、「すみません」と声を掛け、必要なら名前を尋ねる方法があります。名前が分かった後は、「山田様」「山田さん」と呼ぶ方が、相手を特定しやすくなります。

場所を指す「そちら」は使える

そちらの会場には、車を止められる場所がありますか。

相手側の会場を指す質問です。「そちら」という語だけで失礼になるわけではありません。電話で「そちらへ伺います」と話す場合も、訪問先が互いに分かっていれば自然です。

ただし、複数の会場を扱う担当者には「そちら」だけでは曖昧です。「青葉会館には、駐車場がありますか」と施設名を出す方が確実になります。

人に向かって「そちらはどうですか」と意見を尋ねる場合は、名前が分かるなら「山田さんはいかがですか」と呼べます。全員に呼び掛けているのか、特定の一人なのかも明確になります。

「おたくの会社」は口調で責める響きにも

「おたく」は相手の家や所属先などを指します。「おたくの会社では、どうなっているのですか」と言うと、問い合わせというより組織を責める調子に聞こえることがあります。

手続きについて確かめたいなら、対象をそのまま尋ねられます。

こちらの申込みでは、返金の手続きはどの窓口が担当されていますか。

青葉社では、電話での予約も受け付けていらっしゃいますか。

苦情を伝える場合も、「おたくは対応が悪い」と全体を評価するより、「昨日お願いした折り返しの連絡が、まだ届いていません」と起きたことを具体的にできます。その方が相手も調べるべき内容を把握できます。

呼び方を替えるだけでなく、どの人や窓口に何を尋ねたいのかを明確にします。

知らない人へ「あなた」と呼ばなくても話せる

道を尋ねたい場合、「あなた、駅はどこですか」と呼ぶより、次のように話し掛けられます。

すみません。青葉駅への道を伺ってもよろしいですか。

受付の人を呼ぶなら、「恐れ入ります。予約について確認したいのですが」と用件から入れます。「担当者の方」と声を掛けることもできますが、その人が担当か分からないなら、まず窓口を尋ねます。

一方、案内文の「あなたのご希望をお聞かせください」は、一般の読者に向けた表現として使われます。会話での呼びかけと、文章で広く読み手を指す使い方を一緒にして、常に禁止する必要はありません。

名前を知らなくても主語を省いて用件を伝えられる場面は多くあります。「こちらの列にお並びですか」と尋ねれば、相手をどう呼ぶか悩まずに確認できます。

名前を聞いた後も聞き間違いを確かめる

ご案内のため、お名前を伺ってもよろしいでしょうか。

名前を聞く目的があるなら、このように尋ねられます。道を聞くだけなのに名乗りを求めるなど、用件に不要な確認まで増やす必要はありません。

「高木です」と聞こえたか自信がない場合は、「高木様でいらっしゃいますね」と確認します。間違いを教えられたら、「失礼いたしました。高田様ですね」と言い直して進められます。

相手を見た目で「お父さん」「お母さん」と呼ぶと、家族関係や役割を決め付けてしまう場合があります。受付なら「お申し込みの方」、催しなら「ご参加の方」と、そこで必要な関係を使うこともできます。

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