間違えやすい日本語 / 第55回
「手をこまねいて待つ」は準備万端?待ち方を取り違えやすい言葉
「準備を終えて、手をこまねいて待っていた」。万全の態勢を伝えたいなら、この言い方は意味がずれます。「手をこまねく」は、対処せずに傍観していることです。 待つという点は同じでも、備えて動ける状態とは違います。
「手をこまぬく」も同じ言葉
「こまねく」は「こまぬく」が変化した形で、どちらも使います。漢字では「手を拱く」。腕を組む様子に関わる表現です。
混雑がひどくなるのを、手をこまねいて見ているわけにはいかない。
何も対策をせず、眺めるだけでは済まないという文です。だからといって、腕を実際に組んでいないと使えないわけではありません。行動を起こさない態度を表す慣用句として使えます。
「手をこまねいている」と言われた側は、対応していないと批判されたように感じることがあります。検討や準備が進んでいるなら、それを知らずにこの語で描写すると不公平になります。
「手ぐすねを引いて待つ」は準備している
準備を整え、機会を待ち構える言い方は「手ぐすねを引いて待つ」です。「手をこまねく」とは行動の前提が違います。ただし、「手ぐすね」は相手に備えて待ち構える含みがあるため、歓迎の挨拶には強すぎる場合があります。
客を迎えるつもりで「手ぐすねを引いてお待ちしています」と言えば、冗談にはなっても、落ち着いた歓迎文にはなりにくいでしょう。「準備を整えてお待ちしています」なら、そのまま意図を伝えられます。
待っている人が、何もしていないのか、用意を済ませたのか。それとも対応策を考えている最中なのか。「手をこまねく」を使うときは、待つという外見だけでなく、その行動の有無まで含めて判断する必要があります。
参考:用語の解説
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