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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第77回

「憎まれっ子世にはばかる」は長生きすること?思い込みやすいことわざ

「あの人は元気だね。憎まれっ子世にはばかる、だ」。冗談のつもりでも、相手を褒める言葉にはなりません。このことわざは、健康や長寿を祝う表現ではないからです。

「世にはばかる」は世間で幅を利かせること

「憎まれっ子世にはばかる」は、人に憎まれるような人が、かえって世の中で大きな顔をしていることを言います。人柄がよければ必ず報われる、というわけでもない。そんな割り切れなさを含むことわざです。

ここでの「はばかる」は、勢力を持ち、幅を利かせるという意味。「周囲に嫌われても長く生きる」と寿命の話に置き換えると、中心の意味が変わってしまいます。

「乱暴なやり方に皆が困っているのに、本人はますます発言力を増している。憎まれっ子世にはばかるとは、このことか」。この例なら、人への反感と、実際に持っている力との食い違いが表れます。

「人目をはばかる」とは、ほとんど逆に見える

「人目をはばかる」は、人に見られることを気にして控えることです。同じ「はばかる」でも、こちらは遠慮やためらいを表します。

その意味だけで「世にはばかる」を読むと、世間に遠慮しているように感じられますが、ことわざの中では別の用法です。「世にはばかる」は幅を利かせる、「人目をはばかる」は控えると、まとまりで押さえると混ざりません。

「はびこる」とも音が似ています。好ましくないものが広がる場面で意味が近づくことはありますが、ことわざの形は「はばかる」です。

長く元気でいてほしい相手には、「これからもお元気で」「ますますのご健勝をお祈りします」で十分です。親しい間柄でも、ことわざに含まれる「憎まれる人」という評価は消えません。面白い言い回しだから、と挨拶に借りるのは避けたいところです。

参考:用語の解説

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