正しい敬語 / 第117回
「横から失礼します」は誰が使う?会話やメールに途中参加するとき
「横から失礼します」は、それまで別の人同士が進めていた会話へ、途中から入るときの前置きです。メールで補足する場合や、打合せで一つ情報を加える場合に使えます。
ただ、この言葉を添えれば、誰の話にも割り込んでよいわけではありません。なぜ自分が発言するのか、話のどこを補いたいのかを短く示すと、相手も受け取りやすくなります。
メールに補足するときは名乗りも入れる
横から失礼いたします。会場の設備を担当しております、佐藤です。電源の位置について、一点補足します。
それまで名前が出ていなかった担当者が、関係する情報を加える例です。冒頭で役割が分かるので、相手はなぜその人が答えるのか理解できます。
「横から失礼します」だけでいきなり結論を書くと、誰が判断しているのか分からない場合があります。すでに全員が知っている人なら長い自己紹介は不要ですが、新しい参加者なら所属や担当を添えられます。
補足の対象も、「設備の件」と広くせず、「北側の壁の電源について」と絞ると、前の説明のどこにつながるかが明確です。
担当を引き継ぐならそのことを伝える
佐藤に代わり、今後の窓口を務めます山田です。日程の調整については、以後、私からご連絡いたします。
これは単なる補足ではなく、担当交代の案内です。「横から失礼します」だけでは、一時的な代理なのか、新しい窓口なのか判断できません。
一度だけ代理で返事するなら、「本日は佐藤が不在のため、山田から回答します」と言えます。次回も自分へ連絡してよいかが分かるように、範囲を示せます。
一言だけ補うのか、会話の担当を引き継ぐのかで、前置きを選びます。 役割の説明があれば、相手に「これから誰へ返事をすればよいか」を推測させずに済みます。
会話中は話の切れ目を待つ
対面の打合せでは、「一点補足してもよろしいでしょうか」と発言の機会を求める言い方も使えます。
一点補足してもよろしいでしょうか。会場の入口は、案内図の右側に変更されています。
短い補足を加える例です。相手が話している最中に長くかぶせるより、切れ目で尋ねられます。進行役がいる会なら、その人に合図して発言できます。
緊急に誤りを止める必要があるときまで、形式的に待ち続ける必要はありません。ただ、単に自分も話したいだけなら、「横から失礼」と言って相手の話を終わらせないようにします。
補足が長くなるなら、「詳しい内容は後ほど資料でお送りします」と、会の目的に合う範囲へ絞れます。実際に送る資料がないのに、その場を収めるためだけの約束をしないようにします。
誤りの訂正は人を下げず内容へ向ける
「横から失礼します。それは間違っています」とだけ述べると、何を直すかより対立が目立ちます。
日程について、最新の案内では18日となっています。先ほどの資料は変更前のものかもしれませんので、確認させてください。
資料の違いを確かめる文です。確実な訂正なら「開始日は18日です」と明示し、根拠となる案内を示せます。必要以上に曖昧にすることが配慮ではありません。
元の担当者に確認せず勝手に結論を出せない内容なら、「設備の条件は以上です。日程全体については、担当の佐藤からお返事します」と役割を戻せます。途中参加の一言は、会話の主導権を取り上げるためではなく、必要な情報を加えるために使えます。