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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第16回

「ご足労いただき」は来訪前にも使える?依頼とお礼の例文

「ご足労」は、相手がわざわざ足を運ぶことを敬っていう言葉です。小学館『デジタル大辞泉』も、相手が出向くことへの敬意を表す語として説明しています。来訪後のお礼だけでなく、これから来てもらう依頼にも使えます。「来る前だから誤用」と判断する必要はありません。

ただし、訪問前なら「ご足労をおかけします」、訪問後なら「ご足労いただき、ありがとうございます」など、文全体を場面に合わせます。

まだ来訪が決まっていないときの頼み方

実物をご確認いただきたく、弊社へお越しいただくことは可能でしょうか。ご足労をおかけして恐縮ですが、ご検討をお願いいたします。

こちらの都合で来てもらう例です。最初から「ご足労いただきありがとうございます」と書くと、来ることを引き受けてもらった後のように聞こえます。まだ相談中なら、まず来訪の可否を尋ねます。

「ご足労いただけますか」と直接頼むこともできますが、「お越しいただけますか」の方が、してほしい動作をそのまま示せます。移動をお願いする負担には、後の「恐縮ですが」などで触れられます。

実物を見る必要がない打合せなら、「オンラインでの実施も可能です」と添える案もあります。ただし、実際には選べない方法を、配慮の言葉としてだけ付けることはしません。

訪問日が決まった後の連絡

ご来訪の件、ありがとうございます。10月9日14時に、1階受付でお待ちしております。ご足労をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

来てもらうことが決まった段階の例です。これからの移動なので「おかけします」と書いています。日付、時刻、受付の場所をそろえれば、当日の案内としても使えます。

「ご足労いただくこととなり、恐れ入ります」と書くこともできます。過去形でなければ不自然、という語ではなく、これからの行為なのか、すでにしてもらった行為なのかを後続の文で表すことができます。

来訪後のお礼は普通の言い方でも丁寧

本日はご足労いただき、ありがとうございました。実物を前に相談でき、確認したかった点が明確になりました。

足を運んでもらったことに感謝し、打合せがどう役立ったかを添えた文です。

「本日はお越しいただき、ありがとうございました」でも丁寧です。「ご足労」を使わなければ礼が足りないわけではありません。短いお礼なら、その後に「次回までに修正版をお送りします」と用件を続けられます。

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