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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第101回

「一概に言えない」で何が伝わる?「一様に」と迷う使い方

「それは一概に言えません」と返されると、答えを避けられたように感じることがあります。しかし、違いを無視して同じ結論を出せない場面には、必要な言葉です。「一概に」は、細かな違いを考えず、ひとまとめに扱うこと。多くは「言えない」「決められない」などの否定と組み合わせます。

「一概に悪いとは言えない」は何を認めている?

「人数が少ない会を、一概に失敗とは言えません」。少人数だからこそ話しやすかった場合もあり、人数だけで成功か失敗かを決められないという意味です。参加者が少ない方がいつでもよい、と主張しているわけではありません。

「古い道具が一概に使いにくいとは限らない」も、古さだけで使い勝手を決められないという文です。手になじんで使いやすい物もあれば、傷みが進んだ物もある。違いをまとめて消さないために使っています。

この表現の後に、「今回の目的は少人数で意見を交わすことだったためです」と理由が続けば、何を根拠に判断を留保しているのかが伝わります。「一概に言えない」だけで止めると、判断のための情報が足りません。

「一様に」は見られる状態が同じこと

「参加者は一様に驚いた」の「一様に」は、皆に共通して同じ様子が見られたという意味です。「参加者は一概に驚いた」とは、同じ意味で置き換えられません。

「一様に扱う」は、違いを付けず同じ扱いをすることです。「一概に決めつける」は、細かな事情を見ず、まとめて同じ判断をすることです。近い場面で使われますが、「一様」は状態や扱いの同じさ、「一概」はまとめた判断に目を向ける語です。

たとえば、「結果は地域によって異なり、一様ではない。全国で同じ傾向だと一概には言えない」と続けられます。前半は結果のばらつき、後半はそこから下せる結論について述べています。

何が違えば答えが変わるのかを書く

「どちらがよいかは一概に言えません」は、比較を終えるためだけに使うと不親切です。答えが条件によるなら、その条件を示せます。

「徒歩で来るなら駅前の会場、車で来るなら駐車場の広い会場が便利です」。このように分ければ、「一概に言えない」と前置きしなくても違いが伝わります。「軽さを優先するか、丈夫さを優先するかで選び方が変わります」も同様です。

資料が足りなくて答えられない場合は、「一概に言えない」より「利用者の人数が分からないため、まだ判断できません」が正確です。条件によって答えが変わることと、判断材料がないことを区別できます。

逆に、必要な情報を見ても複数の結論があり得る場合には、「一概に言えない」が役立ちます。断定を弱める飾りではなく、判断の仕方に関わる語として使います。

例外を一つ挙げれば全体を否定できる?

「遅刻には必ず本人の不注意がある」といった決めつけに対し、交通の乱れなどの例を示して「一概には言えない」と返すことはできます。すべての場合に当てはまるという主張を見直すためです。

ただ、「遅刻を減らす工夫が必要だ」という話に、例外があるから何も言えないと返すと、議論の対象がずれます。例外があることと、改善できる部分があることは両立します。

「交通事情による遅刻もありますが、集合場所を早く知らせることで防げる遅刻もあります」と書けば、違いを認めながら次の判断へ進めます。「一概に言えない」を使う価値は、結論を止めることではなく、分けて考えるべき条件を示すことにあります。

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