読めそうで読めない漢字 / 第61回
「看過できない」は見えないこと?読み方と「見逃す」の意味
「看過できない」の「看過」は「かんか」と読みます。「看過」は見過ごすことなので、「看過できない」は、そのまま見逃しておけないという意味です。目が届かず見えないことでも、問題を理解できないことでもありません。
「看」と「過」から分かる見過ごす意味
「看」は見ることに関係する字です。「看護」「看守」のように見守る意味でも使われます。「過」は通り過ぎること。「看過」は、目にしても気に留めず、そのままにしておくことを表します。
「看過できない」は、問題を認識しており、放置できないと伝える言い方です。 「案内の誤りは看過できない」と言う場合、誤りが見つからないのではなく、見つけた誤りを放っておけないという立場を示しています。
「看過する」「看過される」「看過してはならない」などの形も使います。「重要な条件が看過されている」なら、その条件が十分に取り上げられず、見過ごされているという意味になります。
「見落とす」と「看過する」の違い
「見落とす」は、見るべきところを見ずに終えたり、気づかずに読み飛ばしたりすることです。「申込欄の注意書きを見落とした」なら、そこに書かれた内容に気づかなかったと理解できます。
「看過」は、見ても気に留めず通り過ぎるという意味を持ちます。ただし、実際の文章で看過と書かれているだけで、本人が問題だと完全に認識し、意図的に隠したとまで断定することはできません。「看過された事実」は、十分に検討されなかった事実という意味でも読まれます。
「明らかな傷を知りながら、そのまま販売した」なら、認識と行動の関係がはっきりしています。「傷が看過された」とだけ書くと、気づかなかったのか、気づいて放置したのかは曖昧です。責任の所在を説明する必要がある文章では、一語に頼らず事実を分けて書くと正確になります。
「容認できない」より広く使える?
「容認」は、それでよいと認めることです。「不公平な取り扱いを容認できない」は、認められないという判断を表します。「不公平な取り扱いを看過できない」は、それを見過ごさず、何らかの対応を取る必要があると述べています。
二つの言葉は似た立場を示すことがありますが、いつも同じではありません。「細かな書き間違いも看過できない」という校閲の文なら、誤りを見逃さないという意味です。「書き間違いを容認できない」では、誤りを認めるか許すかという話に重点が移ります。
「見逃せない」「放置できない」は、看過できないの分かりやすい言い換えです。「安全に関わる不具合は見逃せません」と書けば、改まった熟語を知らなくても、問題への姿勢が伝わります。
強い指摘には理由と求める対応を添える
「今回の対応は看過できません」とだけ送ると、相手には強い非難として届きます。何を問題にしているのか、どう直してほしいのかがないため、受け手が返答に困ることもあります。
「公開された名簿に訂正前の情報が残っている点は看過できません。該当箇所の修正をお願いします」とすれば、対象と要望が分かります。協力して直せる段階なら、「名簿に訂正前の情報が残っています。差し替えをお願いできますか」と、強い評価を入れずに用件を伝える方法もあります。
「細部の違いとして看過されがちだが、会場名の一文字が違うだけで別の施設を指す」という文では、小さいように見える違いの重要性を説明できます。「準備の負担に目を向けるあまり、参加者への説明不足を看過していた」なら、自分たちの検討が足りなかったことも述べられます。
看過は、単に腹が立ったことを強く言うための語ではありません。何を見過ごしているのか、その点がなぜ重要なのかを示すと、読み手も問題を具体的に理解できます。