本文へ移動
LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第105回

「校閲」は何と読む?「校正」との違いを一つの原稿で考える

「校閲」は「こうえつ」と読みます。「閲覧」の「閲」が入っていますが、原稿を眺めたり、読んで感想を述べたりするだけのことではありません。誤りや不備がないかを調べ、検討する作業を表します。

「校正とはどう違うの?」という疑問には、誤字と内容で完全に二分する説明だけでは足りません。実際に点検する文を例にして、二つの語が指す作業を考えてみましょう。

「校閲」は、くらべて調べる言葉

「校」には比べ合わせるという意味があり、「閲」は調べることに関わる字です。「校閲」は、文書や原稿を調べて、誤りや不備を正していくことを表します。

「記事の校閲をお願いする」「校閲で年号の誤りに気づく」「専門家の校閲を受ける」といった使い方ができます。文字の形だけでなく、記述が成り立つか、前後に矛盾がないかなどにも目を向けます。

例えば、紹介文の冒頭に「創業五十年」とあり、後半の沿革を読むと六十年前から営業している。こうした食い違いは、漢字や文法だけを見ていても分かりません。同じ原稿の別の箇所や、もとになる資料と比べて確認する必要があります。

「校正」とは、どこが重なっている?

「校正」は、文字や文章を比べ合わせて誤りを正すことです。印刷の工程では、校正刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを確かめる意味でも使われます。

「校正は文字、校閲は事実」と整理すると役割をつかみやすい面はあります。ただし、語の意味も実際の作業も重なります。「校正を頼んだから内容は一切見ない」「校閲だから誤字は対象外」とは限りません。

点検する内容の例確認のしかた
原稿の「三人」が紙面で「二人」になった原稿と紙面を照合する
開催日と曜日が合っていない日付と暦を照らし合わせる
人物名の漢字が前後で違う表記を比べ、正しい名前を確かめる
冒頭と結末で説明が食い違う文全体を読み、内容を検討する

名前の誤りのように、文字の問題と事実の問題がつながる例もあります。役割を頼むときは、作業名だけでなく、何を見てほしいかを共有すると行き違いを減らせます。

架空の告知文なら、どこを確かめる?

「来場者全員に記念品を差し上げます。記念品は先着五十人分です」。一文字ずつ読んでも、明らかな誤字はありません。しかし、五十人を超えて来場した場合、「全員」と「先着五十人分」は両立しません。

このとき、勝手に「先着五十人」に直せばよいとは限りません。本当は十分な数を用意する予定で、「五十人分」のほうが古い情報かもしれないからです。担当者に確認し、どちらの条件が正しいかを確かめる必要があります。

「会場は駅から五分です」という文も、徒歩なのか車なのかが抜けています。「徒歩五分」と確かめられれば、必要な情報を補えます。校閲は、難しい言葉をすべて易しくすることより、読み手が誤って理解しない記述になっているかを見る作業でもあります。

「校閲済み」でも、確認した範囲はそれぞれ違う

専門知識を含む原稿と、地域行事の案内では、調べる内容も資料も変わります。「校閲済み」という表示だけから、あらゆる事実があらゆる資料と照合されたとまでは読み取れません。

依頼するなら「人名と年月日の確認をお願いします」「原資料と数字が一致するか見てください」のように、確認したい点を具体化できます。文章の調子を整えてほしいなら、それも別に伝えると目的がはっきりします。

「校閲」の読みを覚えるときは、原稿の向こうにある資料や事実まで確かめる場面を思い浮かべてみてください。「こうえつ」という音が、実際の作業と結びついて覚えやすくなります。

自分の文章を校正する登録なしで200文字まで無料で使えます。
すべてのコラムを見る