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LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第60回

「顕著」は「けんちょ」。ただ「大きい」と言うのとは何が違う?

「顕著」は「けんちょ」と読みます。はっきりと現れ、際立って目につく様子です。「顕著な変化があった」なら、変化が見過ごせないほど明らかになったということです。ただ数値や物の大きさを述べる「大きい」とは、少し焦点が違います。

「顕」も「著」も明らかさに関わる

「顕」には、明らか、はっきりしている、表に現れるという意味があります。「著」は「著しい」と書いて「いちじるしい」と読み、はっきり分かるほど目立つことを表します。「顕著」は、似た意味の字を重ねて、明確に目立つ様子を表した熟語です。

「著者」の「著」だけを思い浮かべると、文章を書くことと関係がありそうですが、「顕著」では著述の意味ではありません。「顕著な傾向」「効果が顕著に現れる」「差が顕著になる」などの形で使います。

「けんちょ」の最後は「ちょ」であり、「けんちょう」とは伸ばしません。「県庁」と音が近くても、別の言葉です。読み方と一緒に「著しい」という訓も押さえると、意味を思い出しやすくなります。

「大きな変化」と「顕著な変化」の違い

「顕著」は、変化や特徴がはっきり目立っていることに重点があります。 「来場者数に大きな変化があった」は、変化の量に注目する言い方です。「来場者の年齢層に顕著な変化があった」は、以前との違いが明らかになったと述べています。

「顕著な差」は、誰が見ても差がないとは言いにくいような、はっきりした違いを表せます。ただし、何ポイント以上なら顕著という共通の数値基準が一般語にあるわけではありません。比較する対象や目的によって、目立つと判断する程度は変わります。

「顕著な建物」と言うと、何が目立つのか分かりにくくなります。高さを言いたいなら「大きな建物」、景観の中で目立つなら「ひときわ目立つ建物」が自然です。顕著は、変化、傾向、差、特徴、成果といった内容と組み合わせやすい語です。

良いことにだけ使う褒め言葉ではない

「練習の成果が顕著に現れた」は、上達を肯定的に述べています。「修理後は、開閉のしやすさに顕著な改善が見られた」なら、改善がはっきり分かる状態です。

反対に、「午後になると混雑が顕著になる」「日当たりの強い側では、色あせが顕著だった」とも使えます。良いことか悪いことかは、何が目立っているのかによって決まります。「顕著」と書かれているから、優れた状態だと解釈しないようにしたいところです。

「顕著な業績」は、際立った業績という褒め方です。この用例だけで語を覚えると、否定的な内容には使えないように感じるかもしれません。業績以外の例も読むと、顕著そのものは目立ち方を説明していることが分かります。

何と比べて顕著なのかを書く

「効果は顕著です」とだけ書くと、具体的に何が変わったかは伝わりません。「案内板を置いてから、入口を尋ねる人が明らかに減った」のように、観察した内容を示せます。数字を確かめていないなら、正確な減少率を創作する必要はありません。

また、一回見ただけで「顕著な傾向」と書くと、継続的な特徴まで分かったように聞こえます。「今回の参加者は、前回より近隣から来た人が多かった」と、確認できる範囲に絞ることもできます。顕著という強い言葉を使うほど、比較の範囲が大切です。

研究などで使う「有意」という語も、顕著と単純には置き換えられません。専門的な判定に関わる語を、目立つという日常の評価と混ぜないほうが正確です。「顕著な違いがある」と述べるときは、何を見て、何と比較し、どんな違いが分かったのかを添えると、読み手も判断できる文章になります。

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