読めそうで読めない漢字 / 第10回
「拵える」は何と読む?「腹拵え」なら聞いたことがあるはず
「出発前に腹拵えをしよう」。平仮名ならおなじみの「はらごしらえ」も、「拵」の字が入ると急に難しく見えます。「拵える」は「こしらえる」。物を作ったり、支度を整えたりする言葉です。
「腹拵え」は腹を作ることではない
「腹ごしらえ」は、何かをする前に食事を取っておくこと。「こしらえ」が「腹」に続いて「ごしらえ」になっています。「身拵え(みごしらえ)」なら、服装などを整えることです。
山道に入る前に、おにぎりで腹ごしらえをした。
食事そのものだけでなく、これからの行動に備える様子が伝わります。夕食を食べ終えたというだけなら「夕食を取った」でよく、何でも「腹ごしらえ」に替えるわけではありません。
「拵える」の字には手へんがあります。字の形だけから語源を作ることはできませんが、「作る」「整える」という意味と結び付けて読む手掛かりにはなります。
料理も口実も「こしらえる」
「夕食をこしらえる」「余った板で棚をこしらえる」は、具体的な物を作る例です。高価な物、手間を省いた物といった条件はありません。「こしらえた」と言うだけで、雑な出来を意味するわけでもありません。
作る対象は物に限りません。「もっともらしい口実をこしらえる」なら、理由を作り出すこと。「顔に傷をこしらえる」なら、結果として傷を負うことです。どちらも「作る」に近い意味ですが、文の対象に合わせて読めます。
帰りが遅くなった理由をこしらえるより、そのまま事情を話した。
この文では、理由を考案したというより、言い訳を作る含みがあります。「拵える」は難しい字を持つ身近な言葉で、必ずしも上品な文章専用の語ではありません。料理の話でも口実の話でも使える、その範囲の広さが特徴です。
参考:Precious.jp
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