正しい敬語 / 第123回
「念のため確認ですが」は疑っているように聞こえる?聞き返しの工夫
「念のため確認ですが」は、行き違いや見落としを防ぐために、もう一度確かめたいときの前置きです。この言葉自体が、相手を疑う失礼な表現というわけではありません。ただ、既に何度も答えてもらったことを繰り返し尋ねると、前置きが丁寧でも負担は残ります。
確認する理由と、今どう理解しているかを短く示すと、相手は答える箇所を判断しやすくなります。
「何を確認したいか」を絞る
念のため確認ですが、明日は正面入口に集合するという理解でよろしいでしょうか。
集合場所を一つ確かめる質問です。「明日の件、念のため確認させてください」とだけ書くより、相手がすぐに返事をできます。日時、場所、人数を一度に確認したい場合は、項目を分けてもよいでしょう。
「念のため」は、確認しなくてもたぶん大丈夫だが、万一に備えるという気持ちを表します。初めて尋ねることや、何も分かっていないことに必ず付ける言葉ではありません。
初回の問い合わせなら、「当日の受付場所を教えていただけますか」と素直に尋ねられます。「念のため」を置いたせいで、既に説明を受けたはずだと相手に誤解させることもありません。
同じ質問をする理由を添える
前回の案内では10名と伺っております。会場への最終連絡のため、人数に変更がないか確認させてください。
既に分かっている情報を示したうえで、再確認が必要な事情を説明しています。相手の前の返事を読んでいることも伝わります。「本当に10名で合っていますか」とだけ尋ねるより、疑っているような印象を和らげられます。
予約や締め切りの前に再確認するのは、相手を信用していないからとは限りません。情報が変わっていないか、手元の記録が正しいかを確かめるためにも必要です。その事情を一言添えると、質問の狙いが明確になります。
急いでいても、「念のため、念のため」と前置きを繰り返す必要はありません。「発送前の確認です。宛先は以下の住所でお変わりありませんか」と、確認の段階を示せば簡潔です。
見落としていたときは、そのことを伝える
先ほどのメールにご記載いただいていたところ、確認が漏れておりました。集合時刻は午前9時で承知いたしました。
自分が読み落としただけなら、「念のため」と言い換えて事情をぼかすより、確認できたことを返すほうがすっきりします。答えが見つかっているなら、同じ質問を再送する必要もありません。
答えが見つからず、前にも聞いたかもしれない場合は、「既にご案内いただいておりましたら恐縮ですが、受付開始時刻を改めて教えていただけますか」と尋ねられます。前のメールや案内を見直してから聞けば、相手に掛ける手間も減らせます。
再確認の言葉は、相手への疑いを隠すためではなく、行き違いを防ぐ理由を伝えるために使います。 こちらの確認不足が分かっているときは、短く認めて用件へ進めます。
食い違いがあるときは資料を具体的に示す
案内状には午後1時、申込画面には午後1時半と記載されています。当日の開始時刻を確認できますでしょうか。
情報が一致していない場合は、「どちらが正しいのですか」と責める調子にするより、見つけた二つの記載を示すと相手も調べやすくなります。「念のため」と弱める必要もなく、確かめる理由が文中にあります。
自分の理解に自信がないなら、「私の読み違いでしたら申し訳ありませんが」と添えることもできます。ただし、必要以上にへりくだって質問を長くしないようにします。
確認が済んだ後には、「午後1時半の開始で承知しました。ご確認ありがとうございます」と確定した内容を返せます。質問するだけで終えず、答えを受け取ったところまで短く伝えると、双方が同じ予定で動けます。