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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第79回

「お口に合えば幸いです」は自信がない?食べ物を贈るときの一言

「お口に合えば幸いです」は、食べ物や飲み物を贈るときに、相手の好みに合うことを願う一言です。自分が選んだ品に自信がない、粗末なものだという意味ではありません。

好みは人によって違うので、押し付けずに勧めたいときに使えます。ただし、食べられるかどうかの確認が必要な品について、この一言だけで気遣いを済ませないようにします。

食べ物を贈るときに添える

先日お話ししたお店の焼き菓子をお送りします。お口に合えば幸いです。

品物を選んだ理由と、好みに合うことを願う気持ちを伝えた文です。「つまらないものですが」と品を下げなくても、控えめに渡せます。

会話なら「お好きだと伺ったので、こちらのお茶を選びました。お口に合うとうれしいです」でも自然です。手紙で改まって伝えるなら「お口に合いましたら幸いに存じます」とできますが、親しい相手にまで一律に硬くする必要はありません。

飲み物にも使える言葉です。反対に、文房具や花には「お口に合う」を使いません。文房具なら「お使いいただけましたらうれしく存じます」、花なら「お部屋に飾っていただければ幸いです」と、品物に合う一文を選びます。

食べることを強く勧めない言い方

「ぜひ全て召し上がってください」「必ず気に入っていただけます」と書くと、量や好みまでこちらが決めたようになる場合があります。

少量ずつ包装されていますので、お好きなときに召し上がってください。

こう書けば、食べる時期を相手に任せられます。家族で分けてほしいつもりでも、家族構成が分からなければ「ご家族皆様で」と決め付けず、「皆様で召し上がっていただければ」とするか、分け方には触れずに渡せます。

「お口に合えば」は、相手の好みを尊重する言葉です。食べる量や感想まで求める必要はありません。

相手が受け取れないと言った場合も、「お口に合わないということでしょうか」と理由を絞って聞くのは避けたいところです。受取りの事情は味の好みとは限りません。「承知しました。どうぞお気になさらないでください」と応じられます。

保存方法や原材料の情報は別に伝える

手作りの品や冷蔵が必要な品なら、挨拶に加えて必要な情報を渡します。

本日焼いた菓子です。くるみと乳製品を使っています。原材料のメモを添えましたので、ご確認ください。

これは味への控えめな言葉とは役割が違います。「お口に合えば幸いです」だけでは、何が入っているか、どう保管するかは分かりません。市販品なら表示を確認できる状態で渡し、分からない原材料を推測して「大丈夫です」と断言しないようにします。

日持ちや保存についても、実際に確認できる範囲で知らせます。長い手紙に埋め込まず、品物と一緒に見つけやすい形で伝えれば、相手も扱いやすくなります。

贈られた側は味の採点を返さなくてよい

受取り直後でまだ食べていないなら、そのまま伝えて構いません。

本日、お菓子を受け取りました。お気遣いありがとうございます。お茶の時間にいただくのを楽しみにしております。

実際に食べた後なら、「香りがよく、おいしくいただきました」と具体的な感想を添えられます。食べる前に「とてもおいしかったです」と取り繕う必要はありません。

好みに合わなかったとしても、求められていない詳しい評価を返す必要はありません。「お心遣いをいただき、ありがとうございました」と贈ってくれた気持ちへのお礼を伝えられます。挨拶を、感想の提出を求める文として重く受け取らなくて大丈夫です。

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