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LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第50回

「憂慮」は「ゆうりょ」。心配より重く響く言葉の使いどころ

「憂慮」は「ゆうりょ」と読みます。心配し、思いわずらうことです。「今後の成り行きを憂慮する」という場合、これから悪い方向へ進むのではないかと気に掛けています。普段の「心配」より改まった、重い受け止め方を伝える場面で使われます。

「憂える」と「慮る」が合わさった言葉

「憂」は「憂える」と書いて「うれえる」と読み、心配したり嘆いたりすることを表します。「慮」は「慮る」で「おもんぱかる」。いろいろな事情を考え合わせる意味に関わる字です。「憂慮」は、単に気になることが頭に浮かんだというより、思いわずらう気持ちを表します。

「憂」は「優」と形が似ていますが、ここには人偏がありません。「優慮」とは書きません。「配慮」「考慮」にも出てくる「慮」の読みと合わせて、「ゆうりょ」と覚えられます。

ただし、字義から「心配しながら必ず対策を考えている」とまで読み取ることはできません。憂慮は気持ちや受け止め方を述べる言葉で、行動が伴ったかどうかは別の説明が必要です。

「心配」と置き換えると重さが変わる

「憂慮」は心配することを、改まった文章で重く受け止めて表す語です。 「雨で洗濯物がぬれないか憂慮している」でも意味は推測できますが、普段の会話なら「心配している」が自然です。大げさな言い方を意図しない限り、場面との釣り合いを考えたいところです。

「地域の水源が失われることを憂慮している」なら、影響の大きい問題を深刻に受け止めています。「急速な利用者減少を憂慮し、開館時間の見直しを始めた」では、心配が具体的な対応につながっています。

「憂慮に堪えない」は、ひどく心配であるという強い表現です。単に少し気がかりという程度で使うと、伝えたい以上に事態を深刻に見せます。反対に、切迫した問題への声明などでは、その重い調子が内容に合うことがあります。

「懸念」「危惧」「配慮」との違い

「懸念」も、気に掛かって不安に思うことです。「影響を懸念する」「影響を憂慮する」はともに使え、きれいに線を引く必要はありません。「憂慮」は事態全体への重い心配を述べる文になじみ、「懸念」は具体的に気掛かりな点を挙げる場合にも使いやすい語です。

「危惧」は、悪いことが起こるのではないかと恐れ心配することです。「記録が散逸することを危惧する」なら、失われる事態への恐れを強く感じさせます。これらを、弱い順から機械的に並べるのではなく、どんな不安を述べているかで読み分けます。

「配慮」は、相手や事情に心を配ることです。「近隣住民に配慮する」と「近隣住民の暮らしを憂慮する」は同じではありません。前者は迷惑が掛からないよう気を配る話で、後者は住民の状況を心配する話です。同じ「慮」が入っていても、文の目的が変わります。

「憂慮を表明する」の先に何を書く?

「保存会は、建物の解体計画に憂慮を表明した」という文では、計画を心配する立場を明らかにしています。その一文だけでは、解体に全面反対なのか、記録を残すことを求めているのかまでは分かりません。

実際に書くなら、「歴史を伝える資料が失われる点を憂慮し、調査期間の確保を求めています」のように、心配する理由と求める対応を添えられます。反対や非難と重なることはあっても、憂慮だけでそのすべてを表したことにはなりません。

個人への連絡でも「ご体調を憂慮しております」と言えなくはありませんが、相手を必要以上に不安にさせる場合があります。「その後のお加減を案じております」など、関係と文面の調子に合わせて選べます。読み方が分かったあとには、心配の大きさだけでなく、誰へ何のために伝える言葉なのかも考えると使いやすくなります。

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