正しい敬語 / 第14回
「ご対応いただけますと幸いです」で必須のお願いは伝わる?
「ご対応いただけますと幸いです」と書いたから、すべて任意のお願いになるわけではありません。本文で必要な作業と期限を示していれば、必須の対応を頼む文にも使えます。
ただ、この結びだけから「必ず対応してほしい」と読み取ってもらうのは難しいものです。対応が必要な理由は本文で伝え、文末の丁寧さに任せきりにしないようにします。
「幸いです」が表すのは依頼する側の希望
小学館『デジタル大辞泉』によると、「幸い」は望ましくありがたいことを表します。「ご対応いただけますと幸いです」は、対応してもらえるとありがたいという気持ちを示しています。
ところが「ご対応」の中身が書かれていないと、相手は読むだけでよいのか、記入して返すのかを判断できません。「幸いです」を「お願いいたします」に替えても、この曖昧さは残ります。
たとえば、申込書の住所欄が未記入なら、何をしてほしいかを具体的にします。
申込手続に住所の記載が必要です。添付の申込書にご住所を追記し、10月9日までにご返送いただけますと幸いです。
必要性、記入箇所、返送期限がそろっています。この文を「幸いですで終わっているから、返さなくてもよい」と読む前提にはしません。
必須であることをもっと明確にする言い換え
期限内に書類がそろわないと手続を進められない場合、その事情も書けます。
お申込みを受け付けるため、住所欄の追記が必要です。10月9日までにご返送をお願いいたします。期限までの返送が難しい場合は、ご連絡ください。
「幸いです」を使わなくても、丁寧な依頼になっています。期限に間に合わないときの対応も示したので、相手が黙って困ることを避けられます。
反対に、掲載資料への感想など、協力してもらえる場合だけでよい用件なら「お気付きの点がありましたら、ご意見をいただけますと幸いです」と書けます。こちらは、意見がない場合まで返信を求める文にはしていません。
結びの前に確認したい一文
「ご対応いただけますと幸いです」を何度も推敲するより、その前を読んでみます。「何を」「いつまでに」「何のために」してほしいかは見えるでしょうか。
ご対応いただけますと幸いです。
これだけだった文も、「参加人数を、10月9日までにこのメールへご返信いただけますと幸いです」なら、頼むことが決まります。「幸いです」は残したままでも構いません。必要な対応を伝えたうえで、普段のやり取りに合う結びを選びます。