正しい敬語 / 第15回
「お申し付けください」と「お知らせください」はどう使い分ける?
「お手伝いが必要でしたら、係員にお申し付けください」は、要望があればこちらで対応するという案内です。「到着予定時刻をお知らせください」は、相手が持つ情報を伝えてほしいという依頼です。
こちらにしてほしいことを受け付けるなら「お申し付けください」、情報の連絡を求めるなら「お知らせください」が使いやすい分け方です。丁寧さの順に並べるより、連絡を受けたあとに何をするかで考えます。
「お申し付けください」は要望を受ける案内に
資料を追加でご入用の場合は、受付の係員にお申し付けください。
受付側で追加の資料を渡せる場面です。単に足りないと報告してもらうだけでなく、必要な部数を申し出てもらい、こちらが用意することにつながっています。
ナツメ社が公開するサービス接遇の教材でも、「お申し付けください」は接客でよく使う表現として挙げられています。相手からの用件を引き受ける側の案内に使える言い方です。
ただ、担当できないことまで「何なりとお申し付けください」と広く約束する必要はありません。資料の追加だけを受け付けるなら、その内容を明示します。「会場内の案内が必要でしたら」と書けば、係員に頼める範囲も分かります。
「お知らせください」は連絡してほしい内容を書く
到着予定時刻を、前日までにお知らせいただけますか。
迎えの準備のために予定を知りたい例です。相手に何かを注文してもらう場面ではないので、「お知らせ」が用件に合います。
「変更がございましたら、お知らせください」も使えます。ただし、何の変更かを相手と共有していない場合は「参加人数に変更がございましたら」と具体的に書きます。丁寧な文末でも、連絡すべき内容が抜けていると返事に迷わせます。
修正の希望はどちらで尋ねる?
修正のご希望がございましたら、お申し付けください。
こちらが制作し、修正にも対応する立場なら使える文です。一方、まず意見を集め、採用するかを関係者で決める段階なら、次のように尋ねられます。
修正した方がよい点がありましたら、お知らせください。いただいたご意見をもとに、次回の打合せで検討します。
「お知らせ」を使う場面でも、連絡を受けて何もしないという意味ではありません。上の例なら、意見を集めて検討します。二つの表現は重なるところがあるので、必要なら受け取った後の対応まで書きます。相手が「要望を伝えれば直してもらえるのか」「まず相談なのか」を判断できる案内になります。