LINTO
一覧に戻る

間違えやすい日本語④:「失笑」「号泣」「爆笑」の正確な意味とは?

笑った、泣いた、という言葉は、気持ちが高ぶっているときに書くものです。落ち着いて辞書を引きながら選ぶ言葉ではないので、勢いのぶんだけ意味が少しずつずれていきます。今回の3語は、そのずれ方がそれぞれ違います。「失笑」は字面に引っぱられてあきれの方向へ、「号泣」は強さを盛りたい気持ちに引っぱられて涙の量の方向へ。そして「爆笑」は、長く誤用だと言われてきた使い方を辞書が認めはじめているという、珍しい経過をたどっています。

ここでは3語の輪郭だけをつかんでおいて、細かな話はそれぞれの記事にゆだねます。

「失笑」で失われるのは笑いではない

「失笑」の字面は「笑いを失う」と読めるので、あきれて笑えなくなる意味だと思われがちです。けれど「失言」や「失火」の「失」と同じで、ここでの「失」は、抑えておくべきものがうっかり外へ出てしまうこと。失笑はこらえきれずに吹き出して笑ってしまうことで、失われているのは笑いではなく、こらえのほうです。

「失」の字の二つの顔と、苦笑や冷笑との線引きは、「失笑」の意味と使い方に書きました。

「号泣」を分けるのは声

「静かに号泣した」という言い方を見かけますが、「号」は怒号や号令の「号」で、大きな声を指します。号泣は大声を上げて泣くこと。頬がどれほど濡れていても、声を出していなければ号泣とは呼べません。漢字の本家では、声を立てずに泣くのが「泣」、声を上げて泣くのが「哭」で、号泣は「哭」の側にある言葉です。涙の量でいちばん強い言葉を探すと号泣に行き着いてしまう、という事情がずれのもとだと思います。

むせび泣く、泣き崩れる、慟哭する。泣き方をどう書き分けるかは、「号泣」の本来の意味で扱っています。

「爆笑」は、辞書のほうが変わった

「一人で爆笑した」は誤用で、爆笑は大勢がどっと笑うこと。長くそう説明されてきましたが、昭和初期の古い用例に一人で爆笑している例が見つかり、近年は一人の大笑いを認める辞書が増えています。「大勢で」という条件が、あとから書き込まれた可能性があるわけです。ただ、古い説明で覚えている人がまだ多いので、使う場面には少し気を遣います。

辞書の説明がどう動いたか、いまどこまで気にすればよいかは、「爆笑」の記事にまとめました。

まとめ:正誤早見表

言葉よくある誤解本来の意味
失笑あきれて笑いも出ないこらえきれず吹き出して笑う
号泣激しく泣く、涙が止まらない大声を上げて泣く
爆笑一人には使えない、とされてきたはじけるように大声で笑う。今は一人でも認められつつある

出典:文化庁「国語に関する世論調査」 平成22年度 / 平成23年度(「爆笑」は調査対象外のため、辞書の記述をもとにしています)

出す前に、さっと校正

「この使い方、合っているかな」と迷ったら、書いた文章をLINTOに貼って校正してみてください。誤字や表記のゆれ、読みにくい言い回しまで、無料でまとめて見直せます。メールを送る前、記事を公開する前、SNSに投稿する前のひと確認に、どうぞお役立てください。

この連載の記事